最近は看護師の資格を活かして、病棟以外の様々な職場で働く人たちが増えています。
今回素敵なご縁があり、病棟看護師を退職して企業へ転職されたAさんにお話しを聞くことができました。
そこで、この記事では
- 病棟看護師から企業に転職した理由
- 企業で働く業務内容
- 病棟勤務の時と比べたメリット・デメリット
を紹介していきます。
企業で働く看護師の1つのロールモデルとして、参考にしていただければと思います。
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企業(産業)看護師になったキッカケと転職した理由
まずAさんが病棟看護師を辞めて、企業で働く道を選んだキッカケと企業に転職した理由をお聞きしました。
産業看護師になったキッカケ
私は学生時代、あと10点落とせば国家試験も不合格というギリギリの状態から、大学病院に就職しました。
そんなギリギリの状態で就職した、病棟での業務は地獄そのものでした。
近すぎる距離感の人間関係、1年目は残業代もつかず、休日も勉強、夜勤明けはミーティング。
「根拠は?患者さん、死んじゃうよ?」こんな声かけばかりが脳みそにこびりつき、やがて表情を失って、今思うと適応障害のような状態になってしまい、食事はとれず体重も減少しました。
「一回この環境から離れないとダメだ」と決心し、外来への移動や休職の提案を頑なに断り続け、丸3ヶ月の退職交渉の末に退職しました。
1年3ヶ月で大学病院を退職後、中規模クリニックへ転職。
その後は訪問看護、大学の実習指導、健診なども経験しました。
しかし「このまま40代になってもこれだけの体力で働けない。デスクワークができるようにならなければ」と、ふと思いデスクワークのできる職場を探し、現在の職場に転職しました。
企業看護師に転職した5つの理由
私が企業に転職しようと思った理由は5つあります。
生活リズムを一定にさせたい
企業は始業時間と終業時間がある程度一定で、夜勤もありません。
そのため、安定した生活リズムで働くことができます。
暦通りに休みたい
家族と生活リズムを合わせたいという思いと、シフト勤務ではなく一定のリズムで休みたい気持ちがあったので、暦通りに休みたいと思っていました。
社会一般の当たり前を学びたい
看護師のままでは気付けなかったであろう、社会での一般常識を身に着けたいと思いました。
肉体労働ではなく、デスクワークだけで仕事がしたい
病棟看護師は夜勤もある不規則勤務の上、業務内容も体力的にとてもキツイです。
そのため、看護師のまま長く働き続けるのは厳しいと感じ、デスクワークがメインの仕事をしたいと考えるようになりました。
人の身体に触れたくない
これは私が患者さんからもらいやすいタイプなので、人の身体に触れないでできる仕事をしたかったからです。
企業に転職を決めた5つの理由は、病棟勤務では実現できない働き方でしたが、企業に就職することで理想の働き方を叶えることができました。
企業(産業)看護師の仕事内容
仕事内容は勤める企業によって大きく異なります。
あくまでAさんの場合の1例として見て下さいね。
私は製薬企業の下請け会社に勤めています。
朝9時から17時30分の業務で、残業は長くても1時間30分程度です。(月5〜6時間)
メールとシステムチェックから始まり、管理業務の代行もしているので、事務的な入力と通常業務を並行します。
ランチはきっちり1時間取れます。
チームメンバーみんなの仲がいいこともあり、時間があるときには業務に関わる内容の理解を共有したり、今後の体制について話したりしています。
雑談も多いですね!
私の業務内容は「一般会社員として所属し背景に看護師免許と経験がある」くらいの感覚です。
企業での働き方や業務内容は様々です。
「企業に転職はしたいけど、看護師としても従事していたい。」
「看護師はもう卒業して完全に企業に勤めたい。」
など、人それぞれ企業でも希望の働き方がありますよね。
私のような転職は、「看護師としては完全卒業」に該当してしまうかもしれません。
【病棟看護師と比較】企業(産業)看護師のメリット
規則的な生活が送れ、体調が整う
暦通りの仕事であり、休日も固定しています。
また夜勤もなく、病棟に比べると残業時間も少ないので規則正しいリズムで生活が送れるようになりました。
世間一般の当たり前のマナーが身につき、その後の転職に有利になる
企業で働いていることで、病棟では学べなかったパソコンのスキルや一般的なマナーを身につけることができました。
企業で身に着けたスキルやマナーは、その後の転職にも有利になると思います。
自分の業務が人命に直結しない
病棟では常に「患者さんが死んじゃうよ?」と言われ続け、自分の業務1つ1つが患者さんの命に直結していました。
しかし、現在はその辛さからは解放されて仕事ができているので気持ちがすごく楽になりました。
有給などの休みを普通に取得できる
病棟勤務の時はなかなか有休を使わせてもらえませんでした。
しかし今は普通に有休が取得できるので、後ろめたい気持ちもなくお休みすることができます。
プライベートの時間が確保でき、約束や習い事の時間の余裕ができる
休日も固定であり、始業・終業時間も一定です。
そのためプライベートの時間を確保しやすくなりました。
習い事をしたり、友人とご飯に行く約束もできるようになりましたね。
オンオフの切り替えもしっかりできるので、プライベートも充実して過ごせるようになりました。
汚物に触れなくてよい
これは看護師の時には何も感じませんでしたが、病棟を離れてみて私にとっては実は高ストレスだったことが分かりました…。
年収が上がった
ありがたいことに、企業に転職して年収は上がりました。
でもそれ以上の価値があると思っています。
看護師時代はかなりの不規則勤務で夜勤はもちろん、遅い時間の訪問看護も経験しました。
アルバイトも時給制で22時まで仕事の日も多かったです。
その当時の勤務状況と比較して、会社員は月曜日から金曜日の決まった勤務時間のみです。
著しく残業が発生するわけでもなく、アフター5や週末も楽しめることを踏まえて年収を見ると、個人的にはアップ率が良いように感じているので、実際の数字以上の価値があると考えています。
ヘアカラーやネイルなどに大きな制限がない
これは会社と職種にもよりますが、ヘアカラーやネイルに大きな制限がない所もあります。
特にネイルは病棟勤務の時は絶対NGでしたが、今はシンプルなネイルを楽しめるようになりました。
【病棟看護師と比較】企業(産業)看護師のデメリット
看護師としてのスキルが落ち、知識が古いもので止まる
現場で働いていた時の看護技術やスキルを使うことはありません。
そのため技術スキルが落ちてしまったり、知識もその当時のまま古いもので止まってしまいます。
医療は日進月歩のため、技術と知識がアップデートできないのはデメリットになると思います。
しかし、私のように現場でのスキルが落ちてしまうことを覚悟の上での転職であれば、特に問題はありません。
いつかまた看護師としてバリバリ働きたいと考えている場合はブランクになる
臨床の現場にいないので、企業に勤めている期間はブランクという認識になります。
ただ、医療機関は常に人で不足なので、ブランクがあっても転職ができないことはないと思います。
長時間同じ空間に同じ人間といるストレス
人によっては、長時間同じ空間に同じ人間といることをストレスに感じてしまうかもしれません。
平日休みがない
役所や銀行関係の対応があるときは、不便を感じます。
地味なのですが、結構大変です(笑)。
企業(産業)看護師の休日や残業について
私の勤めている企業の規則になりますが、土日祝は完全に休みで、夏季休暇と年末年始休暇があります。
有給休暇と月に1回、月次有給(生理休暇)も取得可能です。
産休・育休なども法定の通り取得することできます。
福利厚生としては、会社が契約しているホテル(星野リゾートなど)が利用可能であったり、住宅購入や車購入時に優遇されるものもあります。
残業は月に平均して5〜6時間程度です。
病棟勤務の時に比べると圧倒的に残業時間は短くなりました。
また、残業時間が少ないのも嬉しいですよね。
まとめ:看護師でも企業で働く選択肢がある
今回は企業で働く看護師Aさんからお話をお聞きしました。
看護師は病棟やクリニックぐらいしか働ける選択肢がないと思っていましたが、企業で働くことも可能です。
ただ、その場合は完全に臨床の現場から離れることになるかもしれません。
それでも、病院やクリニックなど医療現場では学ぶことのできない、スキルやマナーなどを身に着けることができますね。
特に勤務が固定されていて夜勤もないので、ママナースや自分自身の体調を大事に働きたい人にとっても転職の選択肢の1つになると思います。
そして企業(産業)看護師の就職・面接対策については事前に対策しておく必要があります。
こちらの記事で詳しく解説していますので、就職活動をする際は参考にしてくださいね。
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